#688. 爆竹一声除旧歳

2006-01-01

爆竹声中一歳除 春風送暖入屠蘇 (爆竹声中一歳除す 春風 暖を送りて 屠蘇に入る)
千門万戸瞳瞳日  総把新桃換旧符 (千門萬戸 瞳瞳の日 総て新桃を把って旧符に換う)

爆竹の音が鳴り響くなか一年が終わる
春風が暖かさを屠蘇の中に吹き込んで
都の数知れぬ家々に朝日がさし込む頃
どの家も古い護符を取り去り 新しい桃の木札をつける

-- 王安石, 元日

2005年大晦日。横浜中華街で年越ししようと、ぶらぶらと歩く。まだ、新年まで10分以上あるのに、あちこちで爆竹が鳴らされている。

ジャズ・バーのWindjammer (ウィンド・ジャマー) の前で、白人男性二人がホットドックとレモネードを売っている。ジンやラムと書いてあるので、ジン・トニックを頼んだら、ジン・トニックなら(店の)中。ここはレモネードと言う。えーっと、レモネードにジンをいれるの?そう、そう。それは呑んだことはないなあ。注文すると、屋台の上に紙コップが置かれてジンは好きなだけ入れてねと言われる。僕がジンをたっぷり注ぐと、その男性がその上に暖かそうなレモネードを注いでくれる。一口啜ると、暖かさで頬が弛む。これは美味しい。

横浜中華街を歩いている途中で、年が明ける。爆竹が盛大に鳴らされ、観光客のあちこちから、おめでとうの声。多分、港では船の汽笛が一斉に鳴らされているはずだけれど、耳栓が必要なくらい盛大に鳴らされている爆竹の音で、全然聞こえない。

大珍楼別館[16]に入り、ビール牛腩河粉 (牛バラ入り汁キシメン) を頼む。オーダーも爆竹の音でかき消されがち。気が付くと店の客は中国人ばかり。この店のスタッフも中国人なので、客やスタッフの間で広東語の挨拶が飛び交う。少し開けた扉の向こうは、爆竹の煙で真っ白になっている。煙がちょっと喉に染みる。みんなが新年を祝っている。ここが、まるで日本じゃあないような気分になる。ビールを呑んで、汁キシメンを食べて、それから店を出る。

まだ、散発的に爆竹が鳴っている。歩きながら爆竹に火を付けて放り投げている人がいる。警官が拡声器で爆竹を鳴らさないでくださいと言いながら歩いている。

明けましておめでとう。恭喜發財 (Kung ei Fat Choy, ゴンヘイファッチョイ, 今年も繁盛しますように)。Happy New Year.

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    [16] 2004年4月に大珍楼本店に吸収されるかたちで閉店。「#743. [閉店] 中華街の大珍楼別館が閉店」