#654. 春宵一刻値千金

2005-03-18

#26. 春宵 - SPRING EVENING

南から風が吹き込み、の気配。ふと、心に春宵一刻値千金 (しゅんしょういっこくあたいせんきん) という言葉が浮かぶ。

この言葉を日本の諺 (ことわざ) のように思っている人もいるようだが、中国の宋代の詩人蘇東坡 (そとうは) の詩の一節だ。春宵一刻値千金の後は、次のように続く。

春宵一刻値千金 (しゅんしょういっこくあたいせんきん)
花有清香月有陰 (はなにせいかあり、つきにかげあり)
歌管楼臺聲細細 (かかんのろうだいこえさいさい)
鞦韆院落夜沈沈 (しゅうせんいんらくよるちんちん)

-- 蘇東坡, 春宵

春宵は、春の夕暮れとするよりとすべきだろう。日本語に訳すると、こんなかんじだろうか…

春の夜の一刻は
千金に値する
花の香
おぼろな月
歌と管弦を奏でていた楼台も
今はひっそりとしている
鞦韆(ぶらんこ)のある中庭に
人影はなく
夜はひっそりと更けててゆく

--

の夜。喧噪から離れて独り逍遙 (しょうよう) する。花の香りと月を愛で、更けてゆく夜を感じる…そんな詩だ。さて、もうしばらくするとの季節だ。蘇東坡に習って、の下を夜の散歩と洒落ようか。

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