#614. 秋刀魚をくふ

2003-09-23

Saury broiled with salt : 秋刀魚(さんま)の塩焼き

あはれ
秋風よ
情あらば伝えてよ
----男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食ひて
思ひにふける と。

-- 佐藤春夫, 秋刀魚の歌

居酒屋で秋刀魚 (サンマ) を頼む。

秋刀魚を食べるとき、何となくキレイに食べつくすことが挑戦のような気持ちになる。

右手でレモンをとり、飛び散らないように左手の掌でちょっと覆って、軽く絞る。お絞りで手を拭い、すっと背を伸ばし、箸を入れる。

まず、表側の背のほぐしながら食べる。腹と背の間を箸先で割る様に開く。良い秋刀魚だと、油が乗っていてほろりと身が崩れる。背側の身を、頭から順番に尾まで食べつくす。次に、同じ要領で表側の腹側を食べる。身を食べるときにワタを一緒に少しずつ食べと、最後まで美味しい。

表側の身を食べきったら、頭を軽くおさえて身から中骨をはずす。表側と同じ要領で背・腹の順に食べてゆき、最後まで食べきったら、箸で中骨を二つに折り、器(うつわ)の左下へ。

器に魚の身が飛び散っていなくて、箸の汚れが先の方だけだと、ちょっと誇らしい。

まあ、個人的なことだ。だれがほめてくれるわけでもない。で、酒を呑む。もう一杯、酒を呑む。ゆっくりと。

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