#953. [読書メモ] 2012年07月に読んだ本 - 荒川弘、クリストファー・プリースト、H・R・ウェイクフィールド、山本一力、クラーク・アシュトン・スミス、神林長平、浜田よしかづ、三上延、笹本祐一。

2012-07-31

今月は11冊。小説9冊 + コミック2冊。

「宇宙軍士官学校 - 前哨 (スカウト) (1)」 鷹見 一幸

宇宙軍士官学校 - 前哨 (スカウト) (1) 鷹見 一幸
古参のSFファンとして鷹見先生の熱い後書きを読んでとても嬉しかった。ラノベではなく正統的ジュブナイルSF。SFを読み始めた若い人に読んでもらいたい。
2012-07-30

「銀の匙 Silver Spoon (4)」 荒川 弘

銀の匙 Silver Spoon (4) 荒川
豚丼と名付けて育てた豚は豚肉となり、八軒は夏のバイト代でそれをすべて買う。その後、また育てる子豚に名前をつける八軒。そのときのセリフが泣かせる。
『先生 前に言いましたよね? これでいいと決めつけて そこに居座り続けるなよって! 生き物を食うってこんなもんだよねって割り切って達観しちゃえば楽だけど、俺は、それはやっぱ嫌です! 達観して…そこに満足して居座るのは…こいつらを見ちゃったらもうできません。』
2012-07-29

「奇術師」 クリストファー・プリースト

奇術師 クリストファープリースト
奇想に酔う。ミステリー、SF、ファンタジー、怪奇の曖昧な境界領域作品。語り手=主人公の視点が入れ替わる重複視点。振り子のように前後する時間線。驚くべき恐怖の結末。
2012-07-29

「ゴースト・ハント」 H・R・ウェイクフィールド

ゴースト・ハント HRウェイクフィールド
短篇集。英國幽霊譚の精粋。悪霊憑きの屋敷 (Haunted house)、田舎の怪異、都市生活者の恐怖などなど。当時の英国の社会生活のテイストも素敵な感じ。
2012-07-25

「銀しゃり」 山本 一力

銀しゃり 山本 一力
再読。職人魂、士魂、商魂、友情、恋。一本筋の通った登場人物たちが、僕の心を晴れやかかにする。時にビジネスとして数字を弾きながら、凛として恥じない生き様が良い。
2012-07-25

「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」 クラーク・アシュトン・スミス

アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚 クラークアシュトンスミス
ゾティーク幻妖怪異譚 、ヒュペルボレオス極北神怪譚に続くクトゥルフ系譜の幻想ホラー短篇集。抗いがたい魅力に酔いしれる。
2012-07-17

「ぼくらは都市を愛していた」 神林 長平

ぼくらは都市を愛していた 神林 長平
神林先生の新作長編。長編はラーゼフォン以来10年ぶり。 神林先生と親交のあるバンド・アーバンギャルド [10]が震災前の秋にリリースしたあした地震がおこったらにインスパイアされた作品とのこと。
貪るように読む。あらかじめ失われた愛の物語。 人々が都市を造り出し、その都市が人々を創り出す。 それはある種の共生だろうか? いや、情報と拡張現実は都市と人々を融合し理解を超える新たな知性体として現れる。 現実と虚構は、どちらから観て現実と虚構なのだろうか? 現実と虚構は相互に開かれていて影響を与える。
考えるべきことが沢山ある。 2012-07-15

「つぐもも (8)」 浜田 よしかづ

つぐもも (8) 浜田 よしかづ
浜田先生の描く女性のラインが好き。桃色要素とシリアス要素のバランスが程よく(笑) 夢中になる面白さ。前巻より続いた靴の怪異あまそぎも終了。超展開で盛り上がる。
2012-07-15

「ビブリア古書堂の事件手帖 (3) - 栞子さんと消えない絆」 三上 延

ビブリア古書堂の事件手帖 (3) - 栞子さんと消えない絆 三上
栞子さん萌ぇ(笑)
ビブリオマニアな方にお勧め。
個としての楽しみである本が人を結び、また対立もさせる。物語がモノとして介在する不思議。 巻頭のカラーイラストは、作中に出てくる家族写真。 制服姿の栞子さんを見て、ふと気になる。 出身校聖桜女学園ってどこだろう? 鎌倉あたりに詳しい知人に、訊いてみたところ北鎌倉女学園か鎌倉女学院か鎌倉女子大の付属ですかね。との答え。 Google で検索してみると、イラストの栞子さんの制服が北鎌倉女学院の制服によく似ていることを確認。 北鎌倉女学院でビンゴかな? 大輔の出身校 (のモデルになった) 大船高校まで1〜2kmという位置関係か…なんかぐっと身近な感じ。
2012-07-05

「ミニスカ宇宙海賊 (8) 紫紺の戦魔女」 笹本 祐一

ミニスカ宇宙海賊 (8) 紫紺の戦魔女 笹本 祐一
大好きなキャラ、詐欺ジャッキー・ファーレンハイトが戻ってきた! (笑) 前作ミニスカ宇宙海賊 (7) 蒼白の髑髏星での宇宙戦とうってかわって、白凰女学院の地下基地 (迷宮) でのドタバタ。 ジャッキーは典型的なトリックスターというところが好き。盗人。抜け目ない愚か者。文化的英雄で破壊者。
2012-07-03

「ビブリア古書堂の事件手帖 (2) - 栞子さんと謎めく日常」 三上 延

ビブリア古書堂の事件手帖 (2) - 栞子さんと謎めく日常 三上
2012年本屋大賞にノミネート作品。 北鎌倉にある古書店ビブリア古書堂を舞台にしたライトテイスト・ミステリー短篇集。 本好き、古書好き、ビブリオマニアな方にお勧め。
美人で本マニアで浮世離れした栞子さん萌ぇ(笑) ではあるが、栞子さんって一体何者だろう? 栞子さんの失踪した母親の謎と、その母親に対する栞子さんの葛藤。 栞子さんの、いつか自分が母親のようになってしまうのではないかという、いわれのない自責の念が、積極的に自分を世間から切り離しているのだろう。 それを大輔が、どのように解きほぐしてゆくか…不器用な男女の心の交流に、目が離せない。
2012-07-01

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