#673. 薬食い(くすりぐい)

2005-07-27

昨日の季節はずれの台風が関東を通り過ぎて、本日は台風一過、強烈な日差しの夏日である。てらてらと汗を流しながら、少し遅いランチを食べるために、鰻屋横浜 野田岩へと歩く。

明日は土用の丑の日(毎年違うが今年2005年は7月28日)。鰻屋の稼ぎ時ではあるのだろうが、混雑した店で、あわてて食べる鰻ほど味気ないものはない。だから、丑の日を外して鰻を食べに行くのが習慣だ。もっとも、野田岩は丑の日は休日なので、この店に限って土用の丑の日は関係なのだが。

店に入って、天然鰻の鰻重を頼み、それから、ビール。つまみは冬瓜のゼリーがけ。ちびちびとビールを呑みながら、鰻が焼き上がるまで待つ。この時間が何とも言えず良い。相変わらず混雑した店内だが、時間がゆっくり流れてゆくような、気持ち良い昼下がり。やがて汗が引いて、食欲が湧いてくる気分。

鰻重@横浜野田岩

富山の天然鰻でございますと仲居が置いた膳の重の蓋を開けると、ふっくらとしてつやつやとした鰻。大きさも厚みも十分にあり贅沢な気分になる。箸先で鰻を軽く割ると、柔らかな身がほろり崩れる。タレの十分に染みたご飯とともに口に運ぶ。そのまま咀嚼すると、これが鰻かと思うほどの上品な味わい。鰻と言えば山椒をかけるところだが、この店に限っては山椒はかけない。ここの上品な軽い味わいの鰻には、山椒は余分なように思われるのだ。

最後に瓜のお漬け物を食べ、口をさっぱりさせる。ゆったりとを喫し、それから店を出る。日差しのなかを、てらてらと汗を流しながら、ゆっくりと道を歩く。これからがの本番だ。

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