#604. エッチな果物

2003-07-27

SEXY FRUIT

近所の商店街に出かける。八百屋の店先からは、甘い桃の匂い。の香り。1パックを買って、ぶつけないように、そぉおっと持って帰り、冷蔵庫で冷す。

それから、柔らかい肌に爪を立てて、少しだけ皮を剥く。皮を摘み、つつつつーと剥いてゆく。ぱぁあっと、部屋に桃の香りが広がる。少しだけ、甘い汁が指と手を伝う。くすぐったくて、むずかゆいカンジ。ナイフや包丁を使えば、もっと簡単に剥くことが出来るけれど、鉄の味が桃についてしまうような気がする。だから、面倒でも、指で剥いてゆく。それに、よく熟した桃は指でも簡単に剥けるのだから。

剥き終えた桃にかぶりつく。汁が唇から顎へ垂れる。口の中に甘い果汁が広がり、かみ締めると、やわらかい桃の中の繊維がプチプチと切れてゆく感触。クラクラする。桃は邪気を払うという。神聖な果物なのだろうが、でも、僕には、これほどエッチな果物はないように思われるのだ。

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