#244. 雨ノ後ニ思ヒキタルコト

1999-11-01

やがて 秋が 来るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげを くらく夜の方に投げ

すべてが不確かにゆらいでゐる
かへつて しづかな あさい吐息にやうに…・
 (昨日でないばかりに それは明日) と
僕らのおもひは ささやきかはすであらう

-- 立原道造, 暁と夕の詩

夜だとゐふのに、歩むだけで汗ばむ。ああ、秋はどこにあるとゐうのだらう。坂の上の夜空は雲におおはれてゐる。ため息と共に僕は今きた道をふりかへるのだ。暗く延び来たる坂道の途中で。

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