#870. 冬天

2012-01-30

冬天


独りで世界に歌をうたう

夢の中では
あれほどたやすく歌えたのに
冷たい空気の底で歌うことが
こんなに苦しいものだとは

冷たい空はどこまでも高く
涙だけが透き通っている

独りで世界に歌をうたう

僕の歌が世界の底から
冷たい空にすいこまれてゆくのを観る
ああ
どこかでだれかが泣いている

眼の前には
冷たい空が拡がっているだけ
だれも僕の歌を聴いていない
世界があるだけ

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