#733. 月と柳と蝙蝠の影

2007-08-15

日本の扇子。Japanese folding fan

8月の立秋をすぎるあたりから、扇子が安くなる。いや、扇子だけじゃないんだけどね (^^;

安くなるので、なんとなくこの時期に買うのが習慣になっている。大体、毎年 2,3 本を購入しているような気がする。まとめて買うのではなくて、何かのついで扇子を売っている店を覗いて、気に入ったのがあれば購入するようなカンジだ。

で、本日、購入したのは男物の蝙蝠 (こうもり) を描いた扇子。鶯 (うぐいす) 色の地に、海松 (みる) 色で月と柳と蝙蝠の影が描かれている。闇の気配があって、気に入っている。晩夏から初秋にかけては、いい雰囲気だと思う。

それに、この扇子には、いろいろ洒落っ気があることも気に入っている。どのあたりに洒落っ気があるかと言うと…

  • 蝙蝠と言うと気味が悪いと感じる人もいる様だけど、これは縁起物。蝙蝠のに通じると言われている。蝙蝠を描いた扇子を使うということは、福を扇 (あお) いで招じ入れるといった洒落になっている。

  • 紙扇を蝙蝠扇 (かわほりおうぎ・かわほりせん)とか、単に蝙蝠 (かわほり)と呼ぶこともある。かわほりは蝙蝠の古語で、蝙蝠の様子に似ていることからついた名前だ。だから、これにかけた絵柄の洒落にもなっている。

  • かわほり (つまり、蝙蝠) は、の季語であるので、夏扇には似合いの図柄である。

    ついでには春の季語、は秋の季語になる。一枚の絵柄で春・夏・秋を示していることになる。

    扇には、前述の紙扇の蝙蝠扇と檜扇 (ひおうぎ) がある。前者を夏扇、後者を冬扇ともいう。つまり、この扇は夏扇で冬扇ではないので絵柄が春・夏・秋という洒落にもなっている。

…と言った感じである。まあ、全部自分なりの解釈だから、間違いもあるかもしれないけれど。

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