#581. コロンビアの悲劇

2003-02-02

多少の宇宙ファンなら知っていることだが、スペース・シャトルは矛盾を孕んだ存在だ。

プロジェクト開始当時のプランは完全再利用 2 段式だったが、予算は承認されず一部を使い捨てる現在の方式に変更された。使い捨てと再利用の混在はシステムを複雑にした。当初、週 1 回・年間 50 回の打ち上げを行われるとされたが、何度も利用できるとされるはずの主エンジンはトラブルのため帰還後に徹底的なメインテナンスが必要だった。耐熱タイルも一枚一枚精査され問題があれば補修された。シャトルを目指して製造されたシステムは、当初の目標とは異なり、見積もりを超える保守コストを要求し、年 50 回の打ち上げは実現されることは無かった。新たな開発予算は承認されず、運用コストは増大した。それでも NASA はあきらめなかった。しかし、 1986年1月 28 日、チャレンジャーの事故は起こってしまった。それでも NASA はあきらめなかった、 2 年間シャトルは打ち上げられず、問題点は修正され、再びシャトルは運用開始。だが、 2003年2月 1 日午前 9 時、事故は再び起きてしまった。コロンビアは帰還することはなかった。

事故の原因はこれからの調査の結果を待たなければならない。けれど、それでも、僕には今回の事故が、不十分な予算と新規開発自体を認められない現在の状況にあると思えて仕方が無い。イラクへの侵攻を声高に叫ぶブッシュ大統領は、今回の事故に対して遺族とともに全米が悲しんでいるとコメントを述べている。しかし、僕の心には響かない。戦争にかける予算があるならと思ってしまうからだ。

7 名のシャトル乗組員は、絶望視されている。せめて彼/彼女のために祈って欲しい。宇宙(そら)に届いた、彼/彼女の魂のために。

  • Rick D. Husband, Commander

  • William C. McCool, Pilot

  • Michael P. Anderson, Payload Commander

  • David M. Brown, Mission Specialist

  • Kalpana Chawla, Mission Specialist

  • Laurel Blair Salton Clark, Mission Specialist

  • Ilan Ramon, Payload Specialist

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