2005-09-23
レンアイ詩集 「Aspects of Love II」 の続き… 2002年11月から2005年9月まで 「夜の翼 - My heart is not digital.」 で書いてきた詩をまとめました。
2003-04-20
何をしても満たされない心がある
何に飢えているのか自分でもわからない
自分の心でないものが私を振り回す
不安というのでもなく
恐れというのでもない
ただ、満たされず飢えている
何をしても満たされない心がある
電話から流れる君の声も
見知らぬ他人のように感じる
この気持ちをどう説明しよう
そこにある満たされていない飢えた心を
どう説明しよう
2003-05-10
永遠なんてものは無いのだと
口にはしない
けれど
わかっているのだ
そういうものだと
永遠なんてものは無いのだと
人差し指と中指の二本で
君の頬を撫ぜる
そう
永遠なんてものは無いのだ
指先に口付けて
うわずった君の声を聞く
舌を絡ませ
肌を汗の向こう側へすりこむ
永遠なんてものは無いのだ
そんなものは無いのだと
暗く胸のうちで呟きながら
愛からも遠く恋からも遠い
でも
ほの暗い闇の中で
握り合った手を離すことができない
なぜだろう
なぜだろうと幾度も自問する
軽く触れ合った頬を
そっとこすりあわせる
2003-07-21
水底で
怪我をした獣のように
丸くなり
時を過ごす
上からは
きらきらと光が差し込んでくるけれど
僕は 水底を眺め
水が身体を流れてゆくのを
感じるだけ
動き出すと
間違ったことをしてしまう
そんな気持ちが
僕を 縛る
動き出すと
人を傷つけてしまう
そんな気持ちが
僕を 縛る
上からは
きらきらと光が差し込んでくるけれど
水底に
怪我をした獣のように
丸くなり
時を過ごす
独り深く暗い水底で
丸くなり
胸の奥のものを
ぎゅぅうっと抱きしめながら
ゆっくりと
水は身体を流れてゆく
2003-08-24
夜に散る桜のこと
落葉の下の猫の屍体
雨の中を歩き続けた浜辺
父が死んだ…葬儀は済んだ、と君に告げると
君は怒った
怒った後に、泣いてくれた
僕の胸に涙が染みた
金木犀(キンモクセイ)の公園
タバコの煙を高く吹き上げた草むら
芝生の青い匂い
だから
聞いて欲しいのは、僕のこと
どんな子供だったか
どうやって
大人になってきたか
悲しかったこと 嬉しかったこと
右腕の骨折
キスの夜
逃げるように帰った夕暮れ
あまり覚えてはいないけど
きっと 君に話してしまわないと
だめだと思うから
聞いて欲しいのは、僕のこと
どんなときも 誰にも 話したことがない僕のことを
2003-09-22
子供のときはわがままを言うものだ
すぐに大人になって
好き勝手はできなくなってしまうから
欲しいものを欲しいと言って
泣き叫んでいればいい
好きなものに抱きついて
夢の中まで持ってゆけばいい
子供のときはわがままを言うものだ
すぐに大人になって
今は完璧に見えた世界も
いつかは傷だらけだと気がつく
君が見ているものは
今だけ美しいのだから
欲しいものを欲しいと言って
嫌いなものを嫌いと言って
泣いて
笑って
2003-12-30
泣きたくて
泣けなくて
泣こうとして
泣けなくて
声もなく叫び
胸を掻き毟る
寂しい
というのでもなく
悲しい
という気持ちだけでもない
ただ
泣いてしまえば
どれだけ楽だろうと思う
泣きたくて
泣けなくて
泣こうとして
泣けなくて
胸のうちの
暗い波のようなものを
もてあます
2004-02-06
夕暮れの時間、満月が昇ってくる。蒼く染まる空をゆっくりと。
昇ってくる月がとても大きく見えるのは、地上の僕らにとてもとても近いからだと、子供の頃、信じていた。地上の向こうから昇りはじめて、高い空へ遠ざかってゆくから小さくなるのだと、信じていた。
夕暮れの時間、満月が昇ってくるのを眺めていると、そんなことを思い出す。心のどこかで、まだ少し、それを信じながら。空の色は深い群青色にかわり、明るく大きな月がくっきりと輝き始める。
2004-06-20
木陰の下の草むらに
仰向けに寝転がり
目を閉じて
葉擦れの音を聞いている
ざわざわと
ざわざわと
心の底の水面(みなも)が揺れるような
そんな気がする
2005-02-06
91歳で他界した祖母は
「わたしの自叙伝」という
文章を残した
十数年前に脳梗塞で倒れ
片手だけで PC のキーボードを叩きながら
書いた文章だ
葬儀から帰宅して
自宅のキッチンで
インスタントコーヒーを飲みながら
彼女の自叙伝を読む
A4 用紙の数枚にプリントアウトされた
彼女の人生を
悪いことも良いことも
彼女の人生だと思いながら
それでも深く考えてしまう
生きようとする彼女の強い意志と
おおらかな人生観を
敗戦と満州からの引き上げ
昔、祖母が語ったことは
文字となってここにある
祖母の姿を思い出そうとする
棺の中に横たわる
頼りない彼女の姿ではなく
数十年前の彼女の姿を
夕暮れの畑
台所で調理する姿
桜の下で笑う顔
血縁も血筋も遺伝も気にはしないけれど
それでも
彼女が抱きしめたもののなかに
僕らが含まれていたのだと思うのだ
冷えてしまったインスタントコーヒーを前に
そんなことを取り留めなく考えている
深夜のキッチンで
2005-04-19
夕暮れどき
雨と風で散らされた桜の下で
残された花を見上げる
ふと思う
最初に咲く桜もあるだろう
そして
最後に散る桜もあるだろう
どこか遠く北の国で
桜の最後の一片(ひとひら)が
やがて散るのだろう
静かに人知れず
2005-09-19
裸足で砂浜を歩く
十四夜の月は
海の上
波打ち際で
おいでと言うと
怖いからと
君は言う
ホテルの灯りで
それほど暗くはないのだけれど
それでも
怖いからと
君は言う
波が足を洗い
砂が渦巻く
僕はポケットに手を突っ込み
月を見上げている
その後ろで
君も見上げている
十四夜の月は
海の上
#1082. 春を待つ夜:
2013-02-24 寝台の不機嫌な女神が冷たい足先を身体に押し付けて温かいと喜ぶ愛らしい顔を眺める幸せ 意味もなく脈絡なく同衾という言葉が理解できる夜だから此処にある幸せは誰にも渡さない くすぐるような髪の毛の柔らかな気配と溶けるようにすりよる感触に抱きしめる...
#1002. 詩は僕の上を通りすぎてしまった:
2012-10-05 詩は僕の上を通りすぎてしまった 今は何ももたらさず 心だけが裸で立って居る 詩を書きたい 詩が変える 詩とありたい でも 書けた詩は 泣きたいくらいに薄っぺらい 感情だけが昂ぶり 誰にも触れず独りだけで居る 雲のような嵐のような感情 だから...
#870. 冬天:
2012-01-30 独りで世界に歌をうたう 夢の中では あれほどたやすく歌えたのに 冷たい空気の底で歌うことが こんなに苦しいものだとは 冷たい空はどこまでも高く 涙だけが透き通っている 独りで世界に歌をうたう 僕の歌が世界の底から 冷たい空にすいこまれてゆく...
#749. 私は寂しかったから 貴女(あなた)と繋がった:
2008-08-14 私は寂しかったから 貴女と繋がった 肉体と肉体をすりあわせて 私は貴女と繋がっていると思いたかった 快楽も愛も 全てが繋がっていると思いたかった 私は寂しかったから 貴女と繋がった 肉体と肉体をすりあわせて 貴女が望み私が与えた 舌を這わせ...
#737. このいとしいもの:
2007-10-21 これを いとしいものと呼ぼう 名づけることを愛と呼ぶなら これは 私のいとしいものだ 空と地の間に吹く風だ これを いとしいものと呼ぼう 私にその資格が無くとも これは 私のいとしいものだ 私が名づけ 触れるものだ 雑踏の街角 緑なすの丘 ...
more 詩: 55 ...
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#1701. 横浜中華街で中国茶 - 龍井茶 @隆記.横浜中華街:
2018-03-25 オフィスでは、だいたい中国茶を飲んでいる。自分用の中国茶マグ・カップで、茶葉の種類を変えつつ何杯も飲んでいるが、これがコーヒーよりも精神バランスに良い感じで、リラックスして、かつ、集中できる感じ。正念場・修羅場・短時間でいいから集中がほしい...
#1700. アットホームな広東料理店 - 春巻 + 咸蛋蒸肉餅 (塩タマゴと豚肉の蒸し) @龍鳳酒家.横浜中華街:
2018-03-24 横浜中華街・中山路の龍鳳酒家(りゅうほうしゅか)にて晩飯。こちらは家庭的なお店で、広東料理(粤菜)の家庭料理(家郷菜)が得意。一品目はビールの酒肴として春巻をオーダー。中身がしっかりと詰まった春巻は、カリッとかじると熱々の中身が口の中に弾け...
#1699. 横浜・元町で米国式スタンダードな朝食を - ブレックファスト・プレート + 玉子1個追加 @バイ・ミー・スタンド.代官坂.元町.横浜:
2018-03-24 横浜・元町・代官坂のバイ・ミー・スタンド(BUY ME STAND)元町店 にて朝食。ここはユニークかつ美味しいサンドイッチを出す店。朝8時から開店していて、ゴージャスな朝食が食べられるので、朝から開店している飲食店が少ない元町近辺では貴重...