#532. 西の果てから東の果てへ

2002-05-24

アイリッシュ・ウィスキー - タラモア・デュー

ウィスキーを孤独な酒と言ったのは誰だったろう。雨宿りの入った地下のバーで、独りアイリッシュ・ウィスキーのストレートを頼む。それをショット・グラスではなくロック・グラスで。

西の大陸のその果ての島国から、この酒は、東の果てのこの島国までやってきた。美しいこの琥珀色の液体を一口啜ると、きつく、野性的な味が、口の中に広がる。

ウィスキーを孤独な酒と言ったのは誰だったろう。思い出せない。カウンターには、他に客は無く、とても静かだ。バーテンダーが、掌に持った氷をカツカツと丸く削っている。

西の果ての強い酒を、もう一口。

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