#639. 都会の蜻蛉 (トンボ)

2004-09-01

早朝、出勤前に洗濯物を預けようとクリーニング屋へ寄る。開いている自動扉をくぐるとセンサーの呼鈴が鳴り、そのままカウンターで待っていると…いつまでたっても店員の小母さんが出てこない。あれ? 奥へ声をかけると、小母さんがあわてて出てくる。洗濯物を渡しながら、何となく雑談。


              すいませんね、気が付かなくて。トンボがね、入ってくるんですよ
              え?
              いえ、トンボがそこ(=ひらっきぱなしの自動扉)を通ると、ピンポンって鳴るもんですから、またトンボかなって思っちゃって
            

代金を支払いながら、それは大変ですねと言うと、いえ、そこをあけているのは朝方の涼しいときだけなんですよ、と笑いながら小母さんが答えた。

クリーニング屋を出て空を見上げると、かすかな秋の気配。

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