#609. まだ、目は覚めていないんだ

2003-08-15

激しい雨音で目が覚める。8月だと言うのに、まるで秋のような肌寒さに、布団から抜け出す気になれず、目を閉じて丸くなったまま、雨音に耳を澄ます。そうすると、雨音の違いがだんだんとわかってくる。地面を叩く音、窓を叩く音、壁を叩く音、車の車輪が跳ねあげる音、樋を流れる音…。窓の外の雨の景色を想像しながら、寝台で丸くなっている。まだ、目は覚めていないんだ、というフリをしながら。

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