#540. 真夜中過ぎの露天風呂に独り居て

2002-07-14

もう、真夜中過ぎ。昼間の騒々しいほどの蝉の声も無い。露天の風呂に浸り、夜空を見上げる。強い風が、頭上の樹の枝を、ざわり、と揺らす。幾つもの記憶が、暗い心の底から浮上する。何も思い出したくはないのに。ざわり、と枝が鳴る。目を閉じて、湯の底へ沈む。

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